【分類と形態】
分類:スズメ目 ウグイス科
将来セッカ科として独立する可能性もある。
全長:12.4cm (11.2-13.0cm)
翼長(夏): ♂52.56±1.75mm ♀46.99±6.11mm
(冬): ♂52.48±1.30mm ♀48.41±2.30mm
尾長(夏): ♂40.04±2.29mm ♀37.60±8.85mm
(冬): ♂49.93±10.50mm♀45.76±12.10mm
嘴峰(しほう)長: 10mm (9-10mm)
ふ蹠(しょ)長: 21mm (19-23mm)
体重(夏): ♂10.62±0.83g ♀9.90±1.08g
(冬): ♂11.12±0.85g ♀9.96±0.72g
翼長、尾長、体重共にメスよりオスの方が大きくオスメスとも冬には夏と比べて尾長が1cmくらい伸びる。
【羽色】
繁殖期のオスの頭部上面は一様な褐色であるのに対し、メスの頭部上面は淡い褐色の地に黒褐色の縦班が存在するた
め一見してザクザクした感じになる。
この縦斑はメス幼鳥ではよく目立つが成鳥ではいくぶん不鮮明になるので注意が必要である。
またセッカでは中央の2枚を除く10枚の尾羽の先端部に白色部があらわれるがこの白色部分がオスでは鮮明である
のに対しメスではかすかに褐色がかっている。
冬季はオスもメスに似た色彩になる。
【口中の色彩】
春から秋にかけての繁殖期のセッカではオスの舌及び上下の嘴の内側(つまり口の中)が真っ黒になる。
オスのこの黒い部分は嘴を閉じた状態でも嘴の付け根部分に現れるので繁殖期のオスの顔つきはメスにくらべていく
ぶん鋭くなる。この黒い部分は換羽中には早くも消失し非繁殖期のオスや幼鳥オスには見られない。
【鳴き声】
オスは「ヒッ、ヒッ、ヒッ」と澄みわたる大きな声で鳴きながら上昇し下降するときは「チャチャッ、チャチャッ」
と鳴く。
これがなわばりソングで,メスが出現すると「チャチャッ,チャチャッ」と鳴きながら,メスの上で求愛ディスプレ
イを行う。
メスは巣の周りで「フィッフィッ」という警戒声を出す。冬季は雌雄とも「チー」という小さな地鳴きを出す。
【分布】
アフリカ北部からヨーロッパ南部、中近東からインド、東南アジア、オーストラリア北部、台湾、日本まで分布する
が北海道には分布しない。
【生息環境】
チガヤ、ススキの草原。河川敷や埋め立ち地の草地など。イネが伸びてくると水田にも生息する。
【繁殖システム】
連続的1夫多妻。オスは繁殖期間中に次々と巣をつくっていき多いときには20個もの巣をつくる。
そして一つの巣ごとにメスを誘っては交尾し、卵やヒナの世話をメスにまかせ次のメスを誘う巣づくりに励む。
これまで知られている限りでは1夫11妻になった例があるが1夫多妻になれるのは全体の4割程度で3割は1夫
1妻、残りの3割は独身である。
【巣】
チガヤやカルカヤの地上20cmほどのところにクモの卵嚢から取った糸で生の葉を縫い合わせてつくる。
美しい縦長の壺巣で上部に出入り口がある。風の方向が一定の草原では草がたなびいている方向が入り口になる。
【卵】
3卵から7卵、5〜6卵が普通、まれに8卵を生んだ例が埼玉県(秋が瀬)で知られている。
1g程度の白地に赤褐色の小さな斑点がある。
【抱卵・育雛期間】
抱卵12日、育雛12日が平均である。メス親は3卵目あたりから抱卵に入り非同時孵化が見られる。
捕食率が高いので産卵にまで至った巣の7割が失敗する。親による遺棄もある。九州ではカッコウによる托卵もある
らしい。
【渡り】
暖かい地方では留鳥。北にすむセッカは冬になると南に移動する。大阪でリングをつけて調べた結果からは夏に繁殖
する個体群と冬に越冬にやってくる個体群がそっくり入れ替わっていることがわかっている。
【性比は1:1でも1夫多妻】
セッカは1夫多妻だが特にメスの数が多いわけではない。
ヒナの性比は、判定ができていないので断定はできないが、おそらく性比は1:1だろうと思われる。
では、なぜ1シーズンに1夫11妻というような極端な1夫多妻が生じるのだろう?
ひとつは1夫多妻といっても、1羽の雄が同時に11羽ものメスとつがっているわけではなく、次々とつくった巣に
メスを引き入れて、連続的に1夫多妻になるからである。
このとき、まわりのなわばりで繁殖に失敗したメスが流れてきて別の雄のところでつがいになるのである。
高い捕食圧を受けるセッカの繁殖サイクルではこうして配偶可能なメスが次々に生じる。
出典:上田恵介 2006.5.8 Bird Research News Vol.3 No.5